OTT(オーバー・ザ・トップ)広告とは?種類や特徴・配信ポイントを解説
インターネット上で表示される広告には、さまざまな種類があります。なかでもOTT広告は、ストリーミング形式による動画配信サービスの普及に伴って注目されるようになった広告形式です。この記事では、OTT広告について特徴や効果を高めるためのポイントを紹介します。
目次
OTT広告の概要
OTT広告とは、インターネット上で配信される“Over The Top”(以下、OTT)に挿入される広告です。
OTTは、インターネットを介してアクセス可能なコンテンツ配信サービスの総称で、代表例として動画配信サービスが挙げられます。この場合、動画の開始前後・視聴中などに流れる動画広告がOTT広告に該当します。
OTTの例
・サブスクリプション型動画配信サービス
・広告付き無料動画配信サイト(AVOD) など
OTT広告はテレビ放送を介さずにデジタルデバイスから視聴されるため、従来のテレビCMとは異なるアプローチを行える点が特徴です。
OTTの市場規模
OTTは新型コロナウイルス感染症による外出制限の影響をきっかけに、ここ数年で市場規模が急速に拡大しました。2030年には、2021年時点から見て約8倍の市場規模になることが見込まれています。
日本においても、OTTの利用率は2018年から2023年にかけて15.0%から31.7%に増加しています。このようなOTT市場の拡大に伴い、OTT広告の重要性も今後さらに高まっていくと考えられます。
出典:国土交通省「世界的潮流を踏まえた魅力的な観光コンテンツ造成のための基礎調査事業調査報告書」
OTT広告の種類
OTT広告は、出稿先のOTTによっていくつかの種類に分けられます。基本的には映像を使用して広告しますが、OTTの特性によっては映像以外を用いるケースもあります。
動画配信サービスのOTT広告
動画配信サービスは、OTT広告の主軸となる媒体です。媒体によって広告の表示形式が異なるため、出稿先に応じて広告を制作する必要があります。
動画配信サービスの例
カテゴリ | サービス名 |
---|---|
無料動画配信サービス | YouTube、ABEMA、TVer など |
有料動画配信サービス | Netflix、Amazon Prime Video、DAZN など |
有料の動画配信サービスでも、近年では広告表示の有無でサブスクリプションの料金を調節するプランの普及が進んでおり、OTT広告の市場が拡大しています。
音楽・音声配信サービスのOTT広告
音楽やラジオなど音声のコンテンツを配信するサービスでも、OTT広告が活用されています。短い音声広告以外にも、画面を見ているときに表示される動画広告やディスプレイ広告など、音声広告だけではなくさまざまな形式の広告が出せます。
音楽・音声配信サービスの例
・radiko
・Spotify
・Apple Music など
なお、有料サブスクリプション形式で広告の出稿に対応していないサービスもあるため、事前に確認が必要です。
SNSのOTT広告
SNSサービスは、多くのユーザーを抱えるOTT広告の出稿先です。近年は情報取得ツールとして利用する人も増えており、動画配信サービスと並んでOTT広告の主軸を担っています。
SNSの例
・Facebook
・X(旧Twitter)
・Inststagram
・LINE など
SNSでは動画や画像など、さまざまな形での広告配信が可能です。SNSによって利用者層が異なるため、ターゲットに応じた出稿先の選定が重要です。
OTT広告の特徴
OTT広告は、従来のテレビCMや雑誌広告とは異なるさまざまな特徴を持ちます。OTT広告を有効活用するためには、これらの特徴を理解しておくことが欠かせません。
ターゲティング精度が高い
ターゲティング精度の高さは、OTT広告最大の特徴です。OTT広告は、性別・年齢をはじめとするさまざまな情報に基づいて自社のターゲットと合致するユーザーを狙って広告を表示できます。
ターゲティングの際に利用できる情報の例
・年齢
・性別
・居住地域
・視聴履歴
・検索行動
・興味関心
・ライフスタイル など
特に広告の出稿費用が閲覧数やコンバージョン数で課金される場合、ターゲティング精度を高めることが広告の費用対効果に大きく影響します。
データの取得や分析ができる
OTT広告はデジタルベースで配信されるため、配信結果の詳細なデータを取得して効果測定と分析が行えます。
OTT広告を見たユーザーがその後ネット上でどのように行動したのか、どのような広告が好まれるのかなどが分析できるため、マーケティングへの活用が可能です。広告キャンペーンの効果を客観的に評価し、どの広告が効果的だったのかを具体的に把握することで、広告施策を柔軟に改善できます。
幅広い層へリーチできる
ターゲティングが詳細なだけではなく、多くの人に広告を届けられることもOTT広告の利点です。OTT広告を活用すれば従来のテレビCMだけではリーチが難しい層、特に若年層や特定の嗜好を持つ層に対しても効果的にアプローチできます。また、時間や場所を選ばず広告を届けられるため、結果としてさまざまな層へのリーチ拡大が期待されます。
従来の広告方法だけでターゲット層に情報が行き渡っていないと感じる場合は、OTT広告の活用がおすすめです。
OTTの更なる市場拡大が見込まれている
前述のとおりOTTの市場は近年拡大しており、それに伴ってOTT広告の重要性も増しています。OTTの市場拡大のきっかけとしては新型コロナウイルス感染症による影響が大きかったものの、以下の理由から今後も市場規模は拡大していくと考えられます。
OTTの市場拡大が今後も見込まれる理由
・持ち歩けるデバイスの普及によってOTTに触れるユーザーが増えている
・テレビから動画配信サービスを視聴できる環境の浸透が進んでいる
OTT広告の効果を高めるポイント
OTT広告は、適切に利用しないと広告効果を十分に発揮できない可能性があります。OTT広告の効果をより高めるためには、以下の3つのポイントを押さえておくことが重要です。
広告クリエイティブの質を上げる
OTTではスキップできる広告が多いため、最初の数秒でユーザーを惹きつけるような動画設計が必要です。
単に伝えたい情報を詰め込むだけではなく、視聴者の興味を惹き、共感を呼ぶストーリー性・映像表現が求められます。クオリティが低かったり、不愉快だったりする広告はスキップされる可能性が高いため、広告制作には十分な時間と予算を割く必要があります。
ターゲットを明確にする
OTTでは、分析されたユーザーデータによって精密なターゲティングが可能です。そのため、ただ広告を配信するだけではなく、制作段階から情報を伝えたいターゲットを絞った動画広告を制作することで高い効果が期待できます。
また、出稿先の選定も重要です。情報を伝えるターゲットを明確にし、それに合う配信プラットフォームを検討したうえで広告制作を行う必要があります。
効果測定をする
OTT広告では、ユーザーの反応について詳細に分析を行い、定期的に動画のアップデートをすることが重要です。
効果測定するポイントの例
・広告によってどの程度のアクションが得られたか
・どのようなユーザーがアクションを起こしやすかったのか など
効果計測をしてそれを反映することで、より視聴者の興味を惹きやすい動画広告を制作できます。広告情報へのアクセス数や視聴数のほか、動画の再生完了率や視聴時間なども考慮して効果検証を行うことが有効です。
まとめ
OTTとは、インターネットを介してアクセス可能なコンテンツ配信サービスのことです。OTTサービスでの広告配信は近年メジャーな広告手段になりつつあり、市場規模が年々拡大しています。OTT広告には動画広告のほか、静止画や音楽を用いたものもあるため、広告内容や配信サービスなどによって使い分けることが重要です。
一度配信した広告はそのままにするのではなく、定期的に効果測定をして改善することも欠かせません。OTT広告を適切に活用することで、効率的な情報の拡散が実現できます。