OTT広告とは?仕組み・メリットとTVer広告・ABEMA広告の活用法

動画配信サービスの普及に伴い、企業の新たな広告手法として注目されているのが「OTT広告」です。テレビ番組や映像コンテンツを視聴する場所は、地上波テレビだけではありません。スマートフォンやパソコン、タブレット、インターネットに接続されたテレビなど、生活者の動画視聴環境は多様化しています。
サイバーエージェントが2026年3月に公表した調査によると、2025年の国内動画広告市場は前年比122.2%の8,855億円に達しました。なかでもコネクテッドテレビ向け動画広告は前年比127%の1,295億円となり、動画広告市場全体を上回る成長を見せています。
出典:株式会社サイバーエージェント「2025年国内動画広告の市場調査」
こうした市場拡大を背景に、TVerやABEMAなどの動画配信サービスへ広告を出稿したいと考える企業も増えています。本記事では、OTT広告とはどのような広告なのか、CTV広告やテレビCMとの違い、活用するメリットをわかりやすく解説します。代表的な配信先であるTVer広告とABEMA広告の特徴や、媒体を選ぶ際のポイントも紹介します。
目次
OTT広告とは
OTTとは「Over The Top」の略称です。通信事業者やケーブルテレビ事業者が提供する専用回線ではなく、インターネット回線を通じて映像コンテンツを配信するサービスや仕組みを指します。
OTT広告とは、こうしたインターネット動画配信サービスの番組やコンテンツ内に表示される動画広告です。広告は動画の再生前、途中、終了後などに挿入され、テレビCMに近い形式で視聴者へ届けられます。
OTTサービスは、スマートフォン、パソコン、タブレット、スマートテレビ、ストリーミング端末、ゲーム機など、さまざまなデバイスで利用できます。そのためOTT広告も、テレビ画面だけでなく、生活者が日常的に利用する複数の端末へ配信できます。代表的なOTTサービスとしては、民放公式テレビ配信サービスのTVerや、ニュース・アニメ・スポーツ・オリジナル番組などを配信するABEMAが挙げられます。
OTT広告とCTV広告の違い
OTT広告とあわせて使われる言葉に「CTV広告」があります。両者は同じ意味で使用されることもありますが、厳密には示している対象が異なります。OTTは、インターネットを通じて提供される動画配信サービスや配信方法を表す言葉です。一方、CTVは「Connected TV」の略称で、インターネットに接続されたテレビ端末を指します。
OTT広告とCTV広告の比較表
| 媒体 | OTT広告 | CTV広告 |
|---|---|---|
| 示すもの | インターネットを利用した動画配信サービスや配信方法 | インターネットに接続されたテレビ端末 |
| 具体例 | TVer、ABEMA、YouTubeなど | スマートテレビ、Fire TVシリーズなど |
たとえば、スマートフォンでTVerを視聴している場合はOTT視聴ですが、CTV視聴ではありません。スマートテレビやストリーミング端末を使い、テレビ画面でTVerやABEMAを視聴している場合は、OTT視聴でありCTV視聴でもあります。つまり、OTT広告は主に「どのような動画配信サービスに広告を出すか」という視点の名称であり、CTV広告は「どのデバイスに広告を届けるか」という視点の名称です。
OTT広告が注目される理由
OTT広告が注目される背景には、生活者の動画視聴行動の変化があります。
現在は、決まった時間に地上波放送を見るだけでなく、通勤中にスマートフォンで見逃し配信を視聴したり、帰宅後にテレビアプリから好きな番組を再生したりする視聴スタイルが定着しています。
TVerが公表した情報によると、2026年1月の月間ユーザー数は過去最高となる4,470万MUBを記録しました。コネクテッドテレビから利用するユーザーも増えており、インターネット動画をテレビの大画面で楽しむ視聴行動が広がっています。
出典:株式会社TVer「2026年1月の月間ユーザー数 過去最高の4,470万MUBを記録」
企業にとっては、テレビのリアルタイム放送をあまり見ない層や、スマートフォンを中心に動画を視聴する層へ、映像と音声を使ってアプローチできる点が大きな魅力です。OTT広告はテレビCMの代わりになるだけでなく、テレビCMだけでは接触しにくい層を補完する広告施策としても活用できます。
OTT広告の主なメリット
ターゲットを絞って配信しやすい
OTT広告では、媒体や広告商品に応じて、年齢、性別、地域、興味関心、視聴傾向などを活用した配信設計ができます。
全国へ同じCMを一斉に届けるテレビCMとは異なり、商圏内に住む人、特定年代の求職者、自社の商品と親和性の高い視聴者など、広告を届けたい対象に予算を集中させやすい点が特徴です。地域密着型の店舗集客、住宅や不動産の販売、採用活動、イベント告知、新商品・サービスの認知拡大など、対象地域や顧客像が明確な施策にも適しています。
動画広告を最後まで見てもらいやすい
TVer広告やABEMA広告では、番組の途中などにテレビCMに近い形式で広告が挿入されます。広告商品によってはスキップできないため、企業名や商品名、サービスの特徴を最後まで伝えやすい点がメリットです。
ただし、スキップできない広告であっても、視聴者の記憶に残るとは限りません。冒頭で興味を引き、「誰のための商品なのか」「どのようなメリットがあるのか」を短い時間で伝えるクリエイティブ設計が重要です。
広告効果を数値で確認できる
OTT広告では、広告の表示回数、再生数、完全視聴率、クリック数などを確認できます。媒体やプランによっては、広告接触後のサイト来訪やブランド認知の変化を調査することも可能です。
配信後のデータをもとに、ターゲット、地域、配信時間、予算配分、動画クリエイティブを改善できるため、広告を配信して終わりにせず、次回の施策へ知見を蓄積できます。
ブランドセーフティを確保しやすい
動画広告では、広告がどのようなコンテンツと一緒に表示されるかが企業イメージに影響します。
TVerではテレビ局が制作した公式番組、ABEMAではニュース、アニメ、スポーツ、ドラマ、オリジナル番組などのプロコンテンツを中心に配信しています。広告内容の審査や企業審査を行い、審査基準をクリアしていない広告は流すことはできません。そのため、投稿者や掲載内容を把握しにくい配信面と比べ、広告の掲載環境を管理しやすい傾向があります。
ABEMAは、CTV広告において第三者計測サービスのIASに対応し、アドフラウドや広告視聴完了率を計測できる環境を整備したことも公表しています。
出典:株式会社サイバーエージェント「ABEMAがCTV広告のIAS計測に対応」
TVer広告の特徴
TVerは、民放テレビ局が連携して提供する公式テレビ配信サービスです。ドラマ、バラエティ、報道、ドキュメンタリー、アニメ、スポーツなど、テレビ局が制作した幅広い番組を配信しています。TVer広告は、番組の再生中にテレビCMに近い形式で表示される動画広告です。スマートフォンやパソコンだけでなく、対応するコネクテッドテレビにも広告を配信できます。
TVer広告の主な特徴は、次のとおりです。
- 民放テレビ局が制作した公式番組内へ広告を配信できる
- 年齢、性別、地域(市区町村単位)などを活用した配信設計ができる
- 広告はスキップ機能が無く、完全視聴につながりやすい
- 広告の表示回数や完全視聴率などを確認できる
- テレビCMでは予算を集中させにくい地域にも配信しやすい
たとえば、特定地域に住む人へ店舗の開店情報を伝えたい場合や、通勤圏内の求職者へ採用情報を届けたい場合などに活用できます。エムズコーポレーションはTVer社の正規代理店として、ターゲット設定、配信プランの作成、動画制作、広告配信、配信後の分析まで対応しています。
ABEMA広告の特徴
ABEMAは、ニュース、恋愛番組、アニメ、スポーツ、バラエティ、ドラマなど、多様なジャンルを提供する動画配信サービスです。24時間編成のチャンネルに加え、見逃し配信やオンデマンド視聴、オリジナル番組なども展開しています。
ABEMA広告では、通常の動画広告だけでなく、番組やライブ配信の特性を活かした広告展開も検討できます。
ABEMAでもTVerと同様に、スマートフォン、パソコン、タブレット、テレビデバイスなど複数の視聴環境に対応しています。ABEMA独自の配信プランが多数用意されており、パッケージ化された人気番組への優先配信、1社提供番組、オリジナル番組に合わせたタイアップ企画など、目的に合わせてユーザーに刺さる企画が実現可能です。
- ABEMA広告は、次のような企業に向いています。
- 若年層やデジタル動画の利用者へ認知を広げたい企業
- アニメ、スポーツ、恋愛番組など特定ジャンルの視聴者へ訴求したい企業
- ライブ配信や話題性の高い番組と連動した広告を展開したい企業
- スマートフォンとテレビデバイスの両方へ広告を届けたい企業
- 番組の世界観を活用したタイアップ施策を検討している企業
広告メニュー、ターゲティング、配信対象番組、最低出稿金額などは、配信時期や広告商品によって異なります。広告目的とターゲットを整理し、最新の媒体資料を確認したうえでプランを設計することが重要です。エムズコーポレーションでは、ABEMAを含む動画広告について、媒体選定から広告配信、動画制作、効果分析まで相談できます。
関連記事:Abema広告とは?特徴や配信プラン・出稿の注意点を詳しく解説
TVer広告とABEMA広告の違いを比較
TVer広告とABEMA広告の比較表
| 媒体 | TVer広告 | ABEMA広告 |
|---|---|---|
| 主なコンテンツ | 民放テレビ局のドラマ、バラエティ、報道、アニメ、スポーツなど | ニュース、アニメ、スポーツ、恋愛番組、バラエティ、オリジナル番組など |
| 視聴スタイル | 見逃し配信を中心に、リアルタイム配信やライブ配信も展開 | 24時間編成のチャンネル、ライブ配信、見逃し・オンデマンド視聴 |
| 向いている目的 | 幅広い層への認知拡大、地域配信、店舗集客、採用広告 | 特定ジャンルへの訴求、若年層への認知拡大、スポーツ・番組連動施策 |
| 主な強み | テレビ局の公式番組内で、テレビCMに近い形で広告を届けられる | オリジナル番組やライブ配信を活用した多様な広告展開ができる |
どちらの媒体が優れているかではなく、自社が「誰に」「何を伝え」「どのような行動を促したいか」によって選ぶべき媒体は変わります。
民放番組の視聴者へ幅広く広告を届けたい場合や、地域・年代を意識した配信を行いたい場合はTVer広告が候補になります。一方、アニメやスポーツなど特定ジャンルとの親和性を重視する場合や、ライブ配信を活用したプロモーションを行いたい場合はABEMA広告が候補になります。両媒体を組み合わせ、TVerで幅広い認知を獲得しながら、ABEMAで特定ジャンルの視聴者との接点を深める方法も考えられます。
OTT広告を成功させるポイント
広告の目的とKPIを明確にする
最初に、OTT広告を配信する目的を明確にしましょう。認知拡大が目的であれば、リーチ数、広告表示回数、完全視聴率などが主な指標になります。Webサイトへの誘導が目的であれば、クリック数、サイト来訪数、指名検索数なども確認します。
採用広告の場合は、採用ページへの流入数、説明会の申込数、応募数など、事業成果に近い指標まで設計することが重要です。
視聴環境に合わせて動画を制作する
テレビCM用の動画をそのまま配信するだけでは、OTT広告の効果を十分に引き出せないことがあります。スマートフォンでも企業名や商品名を読み取れる文字サイズにする、冒頭数秒で課題やメリットを提示する、音声を出せない環境でも概要が伝わるようにするなど、複数の視聴環境を想定した動画制作が必要です。
また、TVerとABEMAでは視聴される番組やユーザーの視聴目的が異なります。同じ商品を訴求する場合でも、媒体や番組ジャンルに応じて映像やメッセージを調整すると、視聴者に受け入れられやすくなります。
配信後のデータを改善に活用する
OTT広告は、配信結果を数値で確認できる点が強みです。完全視聴率、クリック率、ターゲット別の配信状況などを確認し、次回の配信条件や動画クリエイティブを改善しましょう。
複数の動画を用意して反応を比較したり、地域や年代ごとに結果を分析したりすることで、自社に適した訴求方法を見つけやすくなります。
テレビCMやWeb広告と連携する
OTT広告だけで施策を完結させるのではなく、テレビCM、検索広告、SNS広告、ディスプレイ広告、ランディングページなどと連携させることも効果的です。OTT広告で商品や企業を知った人が検索した際に、検索広告や自社サイトで詳しい情報を確認できるようにしておけば、認知から比較検討、問い合わせまで一貫した導線をつくれます。
OTT広告に関するよくある質問
OTT広告とテレビCMはどちらを選ぶべきですか?
短期間で広いエリアへ一斉に認知を広げたい場合は、テレビCMが適していることがあります。一方、地域や年代などを絞り、配信結果を確認しながら広告を運用したい場合はOTT広告が適しています。
どちらか一方を選ぶのではなく、テレビCMで広く認知を獲得し、OTT広告で未接触層や特定ターゲットを補完する方法もあります。
TVer広告とABEMA広告を同時に配信できますか?
複数の媒体を組み合わせた配信も可能です。ただし、媒体ごとに同じ予算を均等に配分するのではなく、ターゲット、広告目的、番組ジャンル、想定する視聴デバイスに合わせて配分を決める必要があります。
OTT広告には専用の動画が必要ですか?
既存のテレビCMや会社紹介動画を活用できる場合もあります。ただし、動画の秒数、ファイル形式、画面比率、表現審査などの入稿規定は媒体ごとに異なります。配信前に素材が規定を満たしているか確認しましょう。
まとめ
OTT広告とは、インターネット動画配信サービスの番組やコンテンツ内へ配信する動画広告です。テレビCMに近い視聴体験を提供しながら、デジタル広告ならではのターゲティングや効果測定を活用できます。
代表的な媒体であるTVer広告は、民放テレビ局が制作した公式番組内で、地域や年代を意識した広告配信を行いたい企業に適しています。ABEMA広告は、ニュース、アニメ、スポーツ、オリジナル番組などのコンテンツを活用し、特定ジャンルの視聴者やデジタル動画の利用者へ訴求したい企業に向いています。ただし、OTT広告の効果を高めるには、媒体名だけで出稿先を決めるのではなく、ターゲット、広告目的、配信地域、動画クリエイティブ、配信後の導線まで含めて設計する必要があります。
エムズコーポレーションでは、TVer広告・ABEMA広告を含む動画広告について、媒体選定、配信プランの設計、動画制作、広告配信、効果分析まで一貫してサポートしています。テレビCMとWeb広告の両方を扱う総合広告代理店として、企業の課題、ターゲット、予算に合わせた施策をご提案します。



