DOOHとは?種類や仕組み・メリットを分かりやすく解説
広告を掲載するときは、効果的に自社やサービスを周知する方法を選ぶことが重要です。最近では、駅や町中で広く情報を拡散できる方法として近年注目されているのが、DOOHです。今回は、DOOHの概要やメリット、活用例などについて紹介します。
目次
DOOHとは
DOOHとは「Digital Out of Home」を略した言葉であり、デジタル屋外広告を指します。駅構内に設置されるデジタルサイネージや店舗に設置された小型スクリーンなどが代表的です。映像などを駆使して通り過ぎる人の目を引く様なインパクトある情報を伝えられることが特徴です。近年町中で目にする機会が増えており、メジャーな広告方法の1つになりつつあります。
DOOHの市場動向
DOOHは2019年度における国内売上は764億円だったのに対して、2020年度は516億円でした。コロナ禍の影響で一時は低迷したものの、2022年には約700億円になっており、収束後は大きく市場が伸びています。
2024年には約970億円まで拡大する見込みで、今後も成長が見込まれます。これからもDOOHを目にする機会が増えるであろうことを考慮して、今後さまざまな市場でDOOHを活用した広告戦略が検討されるようになるでしょう。
DOOHの種類
DOOHといっても、仕組みや形式などによってさまざまな種類があります。ここでは、主要なDOOHの種類を2つ紹介します。どちらの形式を採用するのが効果的なのか、考えながらDOOHを導入しなくてはならないといえるでしょう。
ダイナミックDOOH
ダイナミックDOOHは、リアルタイムで表示内容が変わるデジタル屋外広告です。センサー・カメラなどの技術を活用し、環境や視聴者に合わせたパーソナライズされた広告を配信ができます。
例えば、以下の様な配信が可能です。
・雨が降ってきたら、傘の広告を表示
・気温が上がったら、冷たい飲み物の広告に切り替え
・広告を見ている人の年齢・性別を判断し、その人に響くような商品をPR
つまり、天気や時間帯、通行人の特徴などに合わせて広告の内容を自動で変更ができます。その場に最適な情報を届けられるのがダイナミックDOOHの大きな強みです。
プログラマティックDOOH
プログラマティックDOOHは、AIなどのデジタル技術を使って、屋外広告を自動で最適なタイミングと場所に配信する仕組みです。オフラインの広告でも、広告枠の購入からコンテンツの配信までを自動化し、リアルタイムで広告を最適化できます。
例えば、以下の様な配信が可能です。
・特定の時間帯にターゲット層が多い場所で広告を配信
・イベント開催中に、そのイベントに関連する広告を自動で表示
といったように、ターゲットや状況に合わせて広告を自動的に最適化したい場合に非常に有効です。
DOOHの仕組み
DOOHは広告配信の仕組みによっていくつかの種類に分けられます。それぞれ特徴や必要な費用などが異なり、どの形式を採用するかを事前に考える必要があるでしょう。ここでは、DOOHの仕組みを3つの型に分けて紹介します。
スタンドアロン型
スタンドアロン型DOOHは、パソコンとUSBメモリやSDカードを使うアナログタイプのデジタルサイネージです。インターネットに接続されていないため、一度設定すればその場で広告を流し続けることができます。
インターネット環境がない場所での広告配信や、長期間同じ広告を表示したい場合に特に有効です。ただし、人が直接データを入れ替える必要があるため、頻繁に広告内容を変更する場合には向いていません。
ネットワーク型
ネットワーク型DOOHは、スタンドアロン型とは異なり、デジタルサイネージ自体がインターネットに接続されています。そのため、広告データの更新をインターネット経由で遠隔から行えるのが大きな特徴です。
プログラマティックDOOH(AIによる自動最適化配信)では、このネットワーク型がよく採用されます。人が管理する必要が無く、リアルタイムで広告内容を変更できるため、常に最新の情報を表示したい場合に適しています。
インタラクティブ型
インタラクティブ型DOOHは、視聴者が画面を直接手で操作できるデジタル広告のことです。身近な例として、回転寿司の注文用タッチパネルや本屋やアパレル店舗にある商品検索システムなどが該当します。
お客様が自分で商品をタッチして選ぶことで「自分で決めた」という意識が強まります。これにより、店員に勧められる「押し売り感」がなく、満足度を高めて買い物を楽しめるメリットがあります。
DOOHのメリット
ここからは、DOOHに切り替えることによって得られるメリットを3つ紹介します。DOOHの導入を検討するときは参考にしましょう。
インパクトがあり注目されやすい
DOOHのメリットとして、強い視覚効果によって高い注目を集められる点です。雑誌やテレビ、新聞広告などの他のメディア媒体と比較して、大きなビジョンサイネージを活用したDOOHは、通行する人の目に留まりやすく強いインパクトを与えられるでしょう。
大画面で広告を流すことで、一度に多くの人に情報を届けられるため、交通量の多い場所や人口密度が高いエリアや都市部で利用される広告方法です。一気に情報を拡散したい場合などは、非常に有効な広告手法といえます。
SNSで拡散されやすい
街中で流れるインパクトのある広告は、ふとした瞬間に視線を集められます。写真や動画などを撮り、X(Twitter)やInstagramなどのSNSで共有することによって、情報が広まる可能性もあるでしょう。SNS上で情報が拡散すれば、商品やサービスの認知度や売上向上が期待できます。情報が拡散すればするほど、費用対効果は高くなるといえるでしょう。
環境に応じた広告配信ができる
ネットワーク型のダイナミックDOOHは、設置場所周辺の人の流れやターゲット層に応じて、表示する広告を柔軟に変化・選択できます。広告を視聴する人の「いま」に興味を持ってもらいやすい広告を流すことができます。
視聴者が自分に向けられたメッセージだと感じれば、広告効果の向上が期待できるでしょう。このような手法は雑誌やテレビ広告では実現が難しく、ダイナミックDOOHならではの強みと言えます。
DOOHの活用例
近年、DOOHは街中のさまざまな場所で活用され始めています。言葉自体は知らなくても、既に目にしている方が多いはずです。ここでは、よく見られるDOOHの活用例について紹介します。
街の大型ビジョン
ファッションビルの外壁・駅構内の上部や外壁に設置される大型のディスプレイは、DOOHの代表格です。これらのディスプレイは、天気予報・ニュース・交通情報などの情報をリアルタイムに表示することで、視聴者の関心を引き付けます。
地域に応じて配信内容を切り替えたり、周囲の状況に合わせて映像をカスタマイズも可能なため、視覚的なインパクトは通常のアナログな広告よりも高いといえるでしょう。
交通広告のデジタルサイネージ
DOOHを利用した交通広告は、交通機関や駅、空港など公共の場所で多く見られます。 ディスプレイを見れば運行状況を一目でチェックできるため、交通案内にかかる手間や人員を削減できるでしょう。また、利用者が迷うことなく移動できるため、人流の促進やストレスを軽減し、満足度を高めることもできるでしょう。
商業施設・店舗のデジタルサイネージ
商業施設・公共スペースなどに設置されるデジタルディスプレイのことです。タッチスクリーンを搭載したデジタルサイネージの場合、視聴者がコンテンツを選択したり必要な情報を表示したりできます。
近年では、インバウンド対応として多言語対応のデジタルサイネージが設置されるケースも増えています。タクシー・トラック・バスなどの車内にデジタルサイネージを設置して、乗客や周辺の人々に映像を用いた宣伝を提供する事例を見たことがある人もいるでしょう。
まとめ
DOOHは、コロナ禍で一時低迷したものの、市場は回復・成長しており、今後も需要拡大が見込まれます。主な種類として、リアルタイムで内容が変化する「ダイナミックDOOH」や、AIで最適な配信を行う「プログラマティックDOOH」があります。
強い視覚効果による高い注目度、SNSでの拡散による認知度向上、そして環境やターゲットに合わせた柔軟な広告配信が可能である点が魅力です。近年では、街中の大型ビジョンや交通広告・商業施設など公共スペースのデジタルサイネージなどが挙げられます。